■バッテリーフォークリフト専用バッテリー
|
カウンタータイプ48V電動フォークリフト
|
バッテリーフォークリフト専用のバッテリー交換費用は、総電圧と容量によって数十万円から100万円を優に超えます。
この電動フォークリフトのバッテリーは、使用環境によっては2〜3年以内に交換されている場合もあります。
■バッテリーフォークリフトの現状
現在、バッテリー式フォークリフトの割合が増加傾向です。
バッテリーフォークリフトのメリットとして、
1. [ランニングコスト]
燃料費フリーでエンジンメンテナンスが不要。また構造がシンプルで故障が少ない。
2. [環境面]
騒音や排気ガスの問題から解放されるため、生鮮食品や精密機器を扱う建物内でも安心して作業ができる。
他方、
1. [車両価格]: 車両価格がエンジン式フォークリフトより割高。
2. [バッテリー交換]: 鉛バッテリーの定期交換が必要。
3. [稼働時間]: バッテリー劣化の進行により稼働時間の減少やパワーダウンの問題。
■電気フォークリフト用、鉛バッテリーの耐用年数
メーカー公表平均寿命(使用状況、環境により前後します)
約3〜5年(約1,200サイクル) ・・・ 充電&放電を1サイクルとします。
・毎日1回充電する場合 ・・・ 平均耐用年数「4年半」 (260サイクル/年) |
電動フォークリフトのバッテリーは2勤、3勤の生産工場においては「1.5〜2年」程のインターバルでバッテリーが交換されているケースがあります。
他方、稼働状況によっては新品時から「9年」経過しているバッテリーも存在します。バッテリー交換のサイクルに幅があるのは使用環境やメンテナンス方法によるものと言われています。
■具体的な劣化症状
[1]. 新品時より稼働時間の減少
- 新しいバッテリー ・・・ AM 9:00〜PM 5:00までフル稼働が可能。
- 古いバッテリー ・・・・ PM 3:00頃までしか稼動できない。昼休みに追加充電が必要。
|
バッテリーが古くなると
↑ゲージが減るスピードが早まる |
[2]. バッテリーゲージの減少率上昇
- バッテリー容量を示すバッテリーゲージの減り具合が新品時より早まる。
- バッテリーが新品時は1〜2時間の稼動で1メモリしか減らなかったが、同一稼働時間で2メモリ以上減少する。
[3]. バッテリーパワーの低下
[4]. バッテリー本体の発熱
- フォークリフトの稼動中、充電中にバッテリー本体が過度に発熱する。夏季はバッテリー液温が50〜60℃に達することもある。(サルフェーション[非伝導性結晶皮膜]の影響により内部抵抗の増大)
[5]. バッテリー液の蒸発が早まる
- バッテリー本体が発熱しやすくなるためバッテリー液の蒸発が早まる。→こまめな精製水の補充が必要。
■バッテリーの診断
- 測定に必要な物
- 比重計
- 電圧計・・・2,000〜3,000円程のデジタルテスターで十分です。
(1). 比重値を測定する(満充電後に測定)
満充電後の比重値を測定します。正常値は充電後、1.28。(※充電後と放電後では比重値が変化します。)
- 充電後 ・・・ 比重値が「上がる」
- 放電後 ・・・ 比重値が「下がる」
※これは、鉛バッテリーの特性として、サルフェーションの付着具合に関係なく上下します。
※充電後の比重値が1.20以下の場合、及び一部セルの比重値が異常に低い場合、電極板の経年劣化や損傷、脱落の可能性が考えられます。
(2). 比重値のバラツキを見る
各セルの比重値のバラツキを確認します。比重差が「0.04」以内におさまっているか確認します。
- 例: 24セルの中で1セルの比重値が他のセルより「0.04」以上低い数値を示し、電解液に黒色の”にごり”が確認できる場合、電極板の劣化、損傷等の可能性があります。
※一般的に劣化の初期状態において、すべてのセルの比重値が均等に低下していきます。しかし、その段階を過ぎたバッテリーは寿命末期症状のひとつとしてこのような現象が生じます。
(3). バッテリー液のにごりをチェック
バッテリー液の透明度を確認してください。黒色または茶色のにごりが確認できるならば、電極板の物理的な劣化が推測されます。
(4). 電圧の測定
(例)バッテリーフォークリフト(48V) |
↓ セル ↓ |
- 1.
- 格子状に並んでいる24個の各セルの電圧が「2.0V」以上、総電圧が「48.0V」以上であることを確認します。
- 2.
- 総電圧が48.0V以上であるにもかかわらず、一つのセルだけ2.0V未満ならば、トラブルを抱えている可能性があります。
- 3.
- セルの電圧が2.0V未満の場合、比重値も低下している可能性があります。
|
|
各セルの連結ブリッジの両端に
電圧測定用の穴が開けられて
います。 |
- 各セルの電圧測定方法
- 各セルは、平型棒状のブリッジで接続されています。ブリッジの両端に直径3mm程の
- 穴があります。テスターの計測棒をホールに接触させます。
|
|
(5). 外観のチェック
バッテリー本体に目立った損傷や膨らみはありませんか?極端な発熱により本体が変形していることがあります。
(6)バッテリーの管理
定期的(1〜2週に1度)にバッテリー液の量を点検します。夏季はバッテリー液が蒸発しやすいため、こまめな点検が大切です。不足している場合は必ず精製水を補充します。
|
指示棒(オレンジ色)がバッテリー
液の量によって上下に移動。 |
[点検方法]
- 1.
- 各セル上部の透明キャップを開けて、指示棒(オレンジ色の棒状浮き)の位置を確認します。
- 2.
- 指示棒が沈んでいるならば水が不足しています。精製水を補充します。
- 3.
- 指示棒の上部に白色帯状のマークがついています。白色マークが確認できるまで浮きが上昇すれば補水完了です。
|
|